LINE、タイで王室風刺のスタンプ公開(後に撤回)

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ゲーム内の「宝箱の鍵」をめぐり関東財務局の調べを受けたというLINEだが、タイでは王室を風刺するスタンプを売り出し、すぐに撤回するという不祥事を起こした。

Thai police investigate Line stickers lampooning royal family(Reuters, 2016年4月7日)

記事によると、

“We are investigating where the stickers came from and who did this,” said Colonel Somporn Daengdee, deputy chief of the police’s Technology Crime Suppression Division.

ざっくり訳)警察のテクノロジー犯罪対策部門の副責任者は、「スタンプはどこから来て、だれが作ったのか捜査を始めた」と語った。

これに対して、LINEは、

“LINE Corporation is aware of the culturally sensitive sticker set that may have caused discomfort among our users in Thailand,” Line said in a statement posted online. “The sticker set in question has been pulled from the LINE Sticker Shop.

ざっくり訳)LINE社は、タイのユーザに不快感を与えるような、文化的にセンシティブなスタンプ(があったこと)を承知しており、当該スタンプはショップからすでに引っ込められた、との声明をオンラインで発表した。

しかしその「声明」を求めて、LINEの会社サイトなどを見回してみても、あるのは景気のいい話ばかり。探し回ってやっと、LINE GLOBAL名義のフェイスブックページにあるのを発見した。以下、全文。

LINE Corporation is aware of the culturally sensitive sticker set that may have caused discomfort among our users in Thailand. The sticker set in question has been pulled from the LINE Sticker Shop.
As we take our users concerns seriously and consider cultural aspects of each country, we will continue to improve our LINE Creators Market.
We regret any inconvenience this may have caused and appreciate your understanding.

第2段落以下をざっくり訳)LINE社はユーザの心配を深刻に受け止め、各国の文化的側面に配慮しているため、今後ともLINEクリエーターズ・マーケットの品質向上に努めます。

今回のことでご不便をおかけしたことを陳謝し、皆様の理解を何とぞよろしくお願いいたします。

最後の段落は、メンテナンスなどでサービスが停止した時などに使われる常套句だが、今回のようなケースでは不適切ではないか。

今回のスタンプがどういうものかは分からないが、タイで王室の名誉を毀損すること、もっといえば批判的に言うことですら不敬罪として、最長で禁固15年の罪になる。特に、現在の軍事政権下では、政府=軍に対する批判をかわすためにも、この不敬罪が以前にもまして恣意的に用いられており、そういう理解が本当にあれば、今回のような騒動はおきなかったはず。

しかしロイター電によると、

Users can create and upload stickers which are checked by head office in Japan and not in Thailand

ざっくり訳)LINEユーザは自分でスタンプを作ってアップロードでき、それらは日本の本社で審査されるだけで、(日本以外の)タイでは審査されない。

つまり、日本のLINE本社には、元々、consider cultural aspect of each countryはしておらず、「cultural sensitive」なことにも鈍感だった、ということになる。

タイでもLINEはメッセージアプリとして第1位のシェアを持っている。日本と同様の状況と言っても良い。それがゆえに起きた騒動ではあるが、テクノロジーやビジネスといった面に強い人材ばかりを揃えるネット企業の、「文系不在」を思わざるを得ない。

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