私が楽天モバイルをやめたワケ

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2018年6月にドコモからのMNPで楽天モバイルを契約していた(過去形)。すでに、OCNやIIJmio、Mineoを経験しており、いわゆる格安モバイル(MVNO)で朝や昼の通勤時間帯に速度が出ないことは承知。シンプルな料金体系と、積極的にためてはいなかったが楽天ポイントがたまること、2019年秋からMNOとして、つまり第4のキャリアとしてサービスインするという方針を応援したい気もあったこと、そして何より、SIM(ロック)フリーのHuawei Mate 10 Proを格安で提供していたことが決め手だった。

そしてそれなりに満足して使っていたが、2019年9月に解約した。楽天はMNOになろうがどうしようが、2度と契約しないしかかわりたくない。

以下、その一部始終。

最初は「あれ?」から

手帳型カバーの不具合かと思った

ことの始まりは8月末。便利に使っていた手帳型のカバーがきちんと閉まらなくなった。横向きでゲームをするためヒンジ部分を持つことが多かったため、このヒンジ部分が劣化したのだと思っていた。中華製だったし。

しかしその「閉じない」ぶりが、日々ひどくなる。おかしいと思ってカバーを外してみて驚いた。

バックパネルがバックリ

スマホ正面から見て下の左側で、バックパネルがばっくりとはがれている。上の画像でも伸びている接着剤が見える。

この接着剤の劣化かと思ったが、閉じてみてもすぐに開いてくる。よくよく見ると、中で電池が膨張していた。画面は通常通り点灯し、操作性にも不便はないものの、下部スピーカーあたりが断線したか、電話をするとこちらの声が通じていないようだ。YouTubeを再生すると音が割れたような感じにもなっている。

見えづらいが、親指のあたり、黒く盛り上がっているのが電池部分

こんな時のために備えていた…(はず)

ともあれ、このまま利用して電池が爆発するのも怖い。

当時、楽天モバイルでも、そしてHuaweiとしてもフラッグシップだったMate 10 Proだったから、ふだんはケチな私でも「スマホ交換保証」(加入当時は「端末補償(保証)サービス」。8月から変わっており、違いはこちら)に月500円(税別)に入っていた。

さっそく、指定されていたコールセンター(0120-789-679)に電話をかけてみる。

バックパネルが外れかけていること、そしてスピーカーに不具合が出ていることを話すと、オペレーターの男性は親切そうな声で対応してくれたが、「電池も膨張しているようだ」と伝えると、声色が一転。「それは保証の対象外です」という主張の一点張りとなった。

楽天モバイルのサイトにある説明

利用者が「正常な使用状態」になるよう気を付けていても起きてしまったことでも、※印以下に書いてある通り、バッテリーがらみでは「本サービスの対象外」なのだという。

その一方、落としたり、水没させたりといった利用者に過失があるケースでは対象になるのだとか。

この内容にはまったく納得できない。利用者に瑕疵はない事例が対象外で、瑕疵がある事例は対象になるのであれば、モラル・ハザードを起こそうとしていると言われても仕方ない。

と、そんなことをオペレーター男性に言っても、彼らはマニュアルに沿って対応しているだけ。最後の方ではこの男性も「確かにおかしいですね。ご意見として共有します」と同情的になったが、しかし状況が変わったわけではない。

リアル店舗の強み?

楽天モバイルは、「ネット契約数」「MVNOシェア」などでナンバー1なんだとか。その原動力は、楽天ポイントがたまるという点と、リアル店舗を構えている点だと評されることが多い。

それならば、リアル店舗に行ってみよう。

行ったのは、有楽町駅南側にある銀座店。「スマホ交換保証受け付け」対応店舗にもなっている。ここで理解してもらえれば、交換に応じてくれるかもしれない。

すいていそうな平日午後に訪問。暇そうにしていた女性店員が対応してくれた。故障した本体を見せ、交換保証に加入していることを告げると、「では、ネットで手続きをしてください」。

あれ、ここで受け付けできるはずだが。何やらマニュアルのようなものをがさがさ。そしてどこかに電話している。しばらくして戻ってきたら、「交換保証」のチラシを手にし、「ここに書いてある番号に連絡を」。その番号は、先に記したコールセンターのものだった。

この女性、自分の会社が交換保証をやっていることも知らなければ、その対応もまったく知らなかったらしい。まあそういうスタッフに当たることもあるだろうが、横では、別のスタッフが高齢の男女に対し、スマホ契約を熱心に進めていた。店内にはモバイルだけではなく、電気など他の楽天リアルサービスの案内も大書されている。

つまり、楽天モバイルの「強み」とかいう「実店舗」は、(一度釣り上げた)顧客に向けたサービスをするというより、まだ客ではない人を釣り上げることに血道をあげる拠点ということだ。この点、アップルストアはおろか、3キャリアのショップと同様に思っていたらえらい目にあう。

これが「同等」?

コールセンターにかけた結果はわかっているので、スタッフ女性のおぼつかない案内に従い、店頭の業務用iPad を使ってウェブで申請してみることにする。

必要事項などを記入し、最後の場面。私の使っているMate 10 Proは、すでに型落ちで、在庫もないらしく、代替品でどうかという。楽天モバイルの注意書きには、

(1) 保証対象製品と同一機種(同一機種が在庫にない場合は、同等の楽天モバイルが指定する機種)の中からご選択いただき、ご選択いただいた機種の交換品と交換致します。楽天モバイルが指定する交換品は、予告なく変更される場合がございます。なお、楽天モバイルの裁量により、故障製品等の回収後に交換品を提供する場合もございます。

とある。どんな同等品が提示されるのかと思ったら、同じHuaweiですらなく、シャープのAquos Zero SH-M10だった。

そもそもMate 10 Proにしたのは、Leica監修のダブルレンズがあったからだ。しかもSimフリー機だったため、DSDVが可能だった。

一方のアクオスZero。まずカメラはシングルかつ非Leica。バッテリーが4000mAhではなく3130しかなく、当然シングルSim。優っているのは、画面の大きさ(6.0に対し6.2)と解像度(2160 x 1080に対し2992 x 1440)のみ。これが同等とな?

この件についても、まったく同意できないため、電話で話をするはめに。出た男性オペレーターは「上長に話してみます」と努力はしてくれたが、結局、なぜこれが「同等」として示されたかは「システムによります」。ではそのシステムがこれを提示するようにしたのは楽天モバイルではと指摘しても「分かりかねます」。ああだこうだと30分も浪費してしまった。

つまり

楽天は、誘客したいがために、交換保証などをうたってはいる。バッテリーは不具合が多く、それに応じていたら交換保証が多くなりすぎて仕組みが破綻するのかもしれない。どうせ保険会社に入っているのだから、その保険会社からバッテリーは対象外と条件づけられたのかもしれないし、バッテリーは端末メーカーが作っているものというよりは、より管理が厳しくない別メーカーが作っていて、不具合に応じきれないのかもしれない。

そうした可能性をいろいろ考えてみても、以下の点はどうしても納得できない。

1)ユーザー側に瑕疵のないバッテリー膨張(しかも事故になる可能性すらある)は保証せず、ユーザー側の過失による事故は保証する矛盾。それによるモラル・ハザードの危険

2)交換品は同等品を用意するとうたいながら、なぜHuawei製品ですらないのか。何が「同等」なのか。楽天側の単なる在庫処分ではないのか。

3)仮に望み通りの端末が代替品として用意されても、交換費用は無料ではなく6000円かかる。その時点までの500円×月数+月額通信料を考えると、必ずしもユーザー側にお得なサービスではない。楽天モバイル銀座店の上、2階にあるHuaweiショップでは、修理費7000円(それ以外の費用は発生しない)で直してくれる。ならば、楽天モバイルユーザーである必然性がまったくない。

だから

仮想ネットワークサーバー化するとか、大胆な料金を提示するとか、まあそもそも第4のキャリアとして巨人たちに立ち向かうと言っていることを応援する気持ちはあり、お布施のつもりで月額費用を払い続けてきた。どうにも混雑時につながらない回線や、安く見えて実際はそんなに安くない通信料には目をつむって、だ。

それなのに、MNOとしての出発も小規模なら、業界にインパクトを与える料金体系も示すこともない。せっかく応援する気になっているユーザーが困ったときに、そのユーザー側でなく、企業側の論理でしか動けない旧態依然とした日本的会社そのものでしかないことがよく分かった。

あくまで個人の見解だが、MVNOとして楽天モバイルはおすすめしない。というか、全力で拒否したい。

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