7月14日、東京・渋谷で「GPD ユーザーカンファレンス2018」が開かれた。GPDが日本で開く初のユーザーイベントだ。「GPD製品を持参のこと」という条件が厳しいのか、3連休の初日という日程が厳しかったのか、100人募集だったはずが来場したのはざっと見て70人ほどだった。
Indiegogo組にはおなじみの「Wade」氏が初来日で参加。WIN2の開発意図を語ったり、ユーザーからの意見を聞いたりの約2時間。
しかし私のお目当は当然、Pocket 2。世界で初めて一般に公開される場だからだ。そのからみでのWade氏の主な発言は以下の通り。
- GPD製品の購入者は世界80か国にいるが、もっとも多いのが日本。出資者(つまりIndiegogo)でいえば半分ほどが日本からだった。
- 代理店の数が一番多いのも日本。そのため日本を重視したい。故障への不安を和らげるため、修理専門の代理店を作る予定。
- Pocket 1には不満点が2つあった。一つはCPU。もう一つはキーボード。2ではこれらを解消する。
- 当初案ではポインティングディバイスをなくしていたが、(おそらく中国内で)やはり不便だとたくさんの文句が来た。だから仕方なく光学式マウスの工場(=供給元)を探したが、いい品質のものを探すのに手間取った。
- Type-Cの安定性も向上し、給電しながら外部接続をできるようになり、多くのハブを使えるようになる。
- SSDではなくeMMCを採用しているが、部品代はeMMCの方が高いし、スマホに一般的に使われているもの(だから劣っているわけではない)。
- 16日に(中国で)クラウドファンデイングを開始。Indiegogoでは7月下旬開始。
また、今後の製品に対し寄せられた要望には、以下のように答えていた。
- Pocketより一回り大きな製品 「考えます」
- Thunderbolt 3を利用した外部GPUを使える製品 「考えています」
- i7などハイスペックCPUを利用した製品 「UMPCでは難しい」
- Pocket2用のGamePad 「ちょっと考えます」
- Gemini PDAのようなAndroidベースの小型端末 「Geminiを見たが、そんなに使えないのでは?すでにAndroidベースのゲーム端末を作っている。(UMPC)ではWindowsだから売れるのであって、Androidは売れない」
- VR/ARに関する機器 「考えない」
- 2in1 「他の会社に任せる」
- SIM/LTE搭載機器 「みんなスマホを持っているのだから、必要ならテザリングでいいのではないか。WindowsそのものがLTEなどの扱いについてAndroidよりも洗練されていない」
- ARMベースの商品 「すでにAndroidで出している。(Windows機での採用は)今の所考えていない」
そして、肝心のPocket2をさわれたのは、会が終了して後。ほんの少しだけ触ってみた感想。「これ、ほしいかも」
まず、Wade氏がこだわったキーボード。MacBookPro系というより、MacbookAir系で、キーストロークがあまりないタイプ。押し心地も軽すぎず、ぺたぺたしすぎず。なかなかに気持ち良い。
そして問題の光学マウス。この位置でなくてもよいではないかと会の最中もユーザーから声が出ていたが、「ここでいいんだ」と言い切ったWade氏。右上のマウス部分は、タップもできるし、少し押し込むこともできるようになっている。押し込めばタップ同様、クリック動作になる。
また、タッチバー的な部分にある、ファン強制停止などの機能ボタンも、押し心地はマウス部分に似ていて、微妙なクリック感がある。
薄さにこだわったという通り、すっきりとまとまっており、製品としての完成度はPocket1より当然上がっている。
ただ、ネックは価格。実質的に、CPUとキーボードの向上だけで639ドル、つまりPocket1の1.6倍。この値段を出せば、一般に流通している普通のPCだって買えてしまう。UMPCという特殊性に差額を出せるか。かなりネガティブである。