ミャンマー中部バゴー地区のイラワジ川流域に残った草原で、1941年に最後に確認されて以後報告のなかった「Jerdon’s Babbler」が絶滅していないことが確認された。
Myanmar Bird Fools Scientists Who Thought That It Was Extinct(Science Times、2015年3月8日)
ある広くはない草地で、この鳥特有の声を録音することに成功。それを再生すると、縄張りを守ろうとして飛び出してきた鳥をみつけ、それで姿が確認されたという。
なんとも喜ばしいニュースではあるが、1941年といえば日本がこの地にじわじわと侵出し、戦雲が漂っていた時期。そこから戦争、そしてその後の混乱と内戦、軍事政権と、国内がまともに調査されることが不可能だったから、スズメぐらいのこの小鳥は絶滅したというよりは確認できなかったというほうが事実に近かったのだろう。
しかし今の学生の世代で、1941年やミャンマーと聞いて、すぐに当時の状況を想像できる人がどれくらいいるのだろう。人間が被った大きな悲劇に少し思いを致しさえすれば、教わらなくても自然に身に染み込む事柄のはずなのだが。そんな共感や同苦さえも忘れてしまった民族が、他の民族を下に見て「我尊し」とする時こそ、全身の注意で鋭く監視しなければならない。