カンボジアで大規模食中毒が発生

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カンボジア・シエムレアプ州で28日に行われた児童労働に関する啓発イベントで、配られたバインミーを食べた約800人が食中毒の症状を訴えた。多くは子供だったという。

Event sickens hundreds; food-poisoning blamed(Phnom Penh Post、2015年3月30日)

バインミーとは、バゲットを縦に切れ目を入れ、間に酢漬けや魚醤で味付けた野菜、ハムなどを挟んだサンドイッチ。旧フランス植民地のベトナムやカンボジアなどで一般的なスナックだ。街角の屋台などどこでも売っているうえ安くて手軽なので、特にベトナム南部に行ったときはよく食べていた。

今回、問題のイベントを行ったのは、国際NGOのWorld Vision。記事には主催者がステートメントを出したとあるが、サイトのプレスセンターカンボジアのページにもそれらしきものがなく、カンボジアページのさらに奥にひっそりと置いてあった

これほど多く被害を受けたのに、これを報じる日本メディアはなかった。なぜなら1)死者は出ていない2)日本人にも日本にも当事者がいない、という、いつもの理由からだ。

しかしプノンペン・ポストの記事には以下の記述がある。

The incident is just the latest outbreak of food poisoning in the Kingdom, which experts say is due to a lack of a stringent food-safety regime.

A food law, which has been in the works since 2004, is currently being drafted. It aims to regulate food safety and quality in Cambodia.

ざっくり訳:今回の事件は、カンボジアで起きた大規模食中毒の一例に過ぎない。専門家はこうした事態が起きるのは厳格な食料安全基準がないためだと話している。食料に関する法案は2004年から作成中で、食料の安全や品質を規制することを目的としている。

それほど利害衝突がなさそうな法律なのに10年たってもできないのは、おそらく立法機能がカンボジアではまだそれほど充実してはいないからだろう。民法という、国民生活に密接に関係する法律でさえ、日本の法務省やJICAの支援を受けて2007年に制定された経緯がある。

しかしその後、法務省がさらにカンボジアの国民生活に密接な食料法の制定を支援しているとは聞かない。法律家がいかにも好みそうな民法や民事訴訟法という分野の支援でとどまった感をぬぐえない。

なぜさらなる支援をしていないのか。カンボジアの立法機能は日本などの支援を受けどこまで成熟したのか、していないのか。そうした掘り下げの視点があれば、800人食中毒の記事を看過できなかったはずだろう。日本からは体感的に遠い事件であっても、日本に引き付けて記事を書くことができたはずだ。

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