カンボジア政府は、ベトナム国境地域で新たに3軒のカジノに開業許可を下した。これまでに開業しているカジノは59軒あり、2014年には前年比15%増の総計2500万ドル(約30億円)の税収があったという。
More casinos on the horizon(Phnom Penh Post、2015年3月26日)
カンボジアは一般的に貧しい国とされているから、カジノの客は当然外国人がほとんど。今回の許可を受けたカジノでいえば立地からも分かるようにベトナム人が主流。ベトナム人は昨年、90万人に上ったという。なぜならベトナムは自国民が自国内でカジノを利用することを禁じているからだ。カンボジアも同様で、プノンペンのホテル内にもカジノはあるが、カンボジア人は利用不可。タイ国境にも多少のカジノがあり、こちらもタイ人利用がほとんどだ。
ベトナム国境にあるカジノを覗いてみればいい。高額の金で遊ぶ客には、飲食どころか宿泊も無料だ。客は1日中、盤面やカードを見つめ、外の天気や、日夜も気に留めず遊び続ける。しかし、カジノを一歩出れば、ほとんど開発もされず、広漠とした赤土の土地が広がっている。
それで、日本。統合型リゾートというカモフラージュとともに、カジノを解禁したい勢力がいるらしい。仮に日本にカジノが数軒できて、そこで遊び金を落としていくのはどんな人たちだろうか。パチンコに狂奔する日本のヤンキーなのか、それとも金の使い道に困っている中国の成金なのか。カジノ推進論者と国粋論者はなぜか重なることが多いが、彼らは、中国の成金が大量に日本を訪れても、心静かにいられるのだろうか。
「統合型リゾート」のモデルらしいラスベガスも、すでに収入の主流はカジノではないらしい。日本の推進論者はいわば、遅れたモデルを追いかけ、咲くには遅れた季節に無理に花を見ようとしているのではないのか。
カジノを解禁すれば外国人が増え、落とす金も増える。そんな無邪気な夢を見るには、世界はすでに複雑になりすぎているし、無邪気な夢を追いかけ続けられるほど甘くはない。