インド、ミャンマーとの連携強化へ

ミャンマー軍トップのミン・アウン・フライン国軍司令官が7日から14日までの予定でインドを訪問している。モディ首相をはじめとするインド政府側は下にも置かぬ歓迎振りという。

India rolls out the red carpet for Myanmar military chief, with an eye firmly on China (The Economic Times, 2017/7/8)

特にインド東北部で中国と国境紛争を抱えているインドは、これまで冷遇してきたミャンマーに対し、同じく中国と国境を接しているということや、中国のミャンマーへの影響力を削ぐ意味からも、政治・経済・軍事関係の深化に努めている。

この記事の白眉は、

Sources say India is ready to further crank up military supplies to Myanmar to counter Chinese strategic inroads into the country, as part of the overall plan to expand defence cooperation with ASEAN countries under the more action-oriented ‘Act East’ policy.

(ざっくり訳)関係筋によると、インド政府はミャンマーで中国が戦略的に影響力浸透を図るのに対抗するため、ミャンマーへの軍事物資支援を強化するという。これは、(モディ政権が掲げる)積極的な「アクト・イースト」政策として、ASEAN諸国との防衛協力を拡大しようとする全体的な計画の一部でもある。

記事ではこの節に続いて、インドからミャンマーにすでに供給している物資を列挙していて説得力を持たせている。

日本のメディアやネットの情報だけだと、中国の膨張ぶりや脅威のみが強調されがちだが、同じく中国に対峙している他国がどのように対応しているかを報じる記事は極端に少ない。

なぜなら、そこには「日本」が直接的に関係しないからだ。「日本」のメディアが海外ニュースを大きく報じるのは、

  1. 「日本人」が関係する・・・どこかの小さな国で日本人が殺害されれば狂ったように報じることがあるのはこの例
  2. 「日本」が関係する・・・日本とアメリカ、日本と中国など、当事者として「日本」が出てくる場合
  3. 直接「日本」は出てこないが、すでに「日本」で知名度がある人や事がら

がほとんどだ。むろん、この3点には無理からぬわけもある。そのニュースを読む・見ると想定されているのが、「日本人」であるからだ。

今回の記事のように、本当は「日本」に大きな意味を持つニュースであっても、そこに直接的に「日本」は出ないし、ましてやミン・アウン・フラインを知っている日本人も少ない。従って、14日に予定されるモディ首相との首脳会談も、日本のメディアで大きく報じられることはないだろう。

逆に、ずっとこのインド訪問を追いかけていて、首脳会談を機にアジア情勢を報じる記者がいれば、その人は単なる「日本のメディア」ではなく、真にジャーナリスティックに国際情勢を書こうとしている人として、その筆には一見の価値があるともいえる。そういうふるいにかける格好の素材が、ミン・アウン・フラインのインド訪問なのだ。

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