豪富豪、カンボジアの孤児9人を養子に

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オーストラリアで最もリッチな女性が、カンボジアの孤児9人を養子にし、丁寧に育てていることが分かった。

Gina Rinehart opens up on ‘Cambodian daughters’ saved from life of extreme poverty(豪Herald Sun、2015年4月30日)

鉄鉱山を所有し、ふだんは私生活を明かさない61歳女性が、2007年にプノンペンで9人のカンボジア人少女を見つけ救い出した。9人は今、10代後半で、アジア各国の著名大学に通う。誕生日には海外旅行をプレゼントされたり、フォーマルなパーティーに招かれたりする。ある種、驚天動地の環境の変化だが、そんな変化にあっても9人は「They are growing into impressive, lovely, polite, considerate, young ladies.」なのだという。

Mrs. Rinehartは2007年にカンボジアの少女買春についての記事を読み、「I thought that I’d like to be able to help」(何か助けられればと思った)。信頼できるコンタクト先を探し、奨学金制度を作った。孤児院から選ばれた9人のためにRinehartはまず、安全な住まいを提供し、きちんとした食事を提供。大学に通わせた。

Mrs Rinehart predicts that the girls will be future “leaders” of Cambodia.

“It has been fantastic to see them grow into beautiful ladies and become young leaders for their country,” she said.

ざっくり訳:Rinehartは9人が将来のカンボジアのリーダーになるとみている。「美しい女性に育ち、故国の若いリーダーになるのを見るのは素晴らしいことだ」

そこでRinehartは、リーダーのモデルとしてシンガポール建国の父リー・クワン・ユーと、インド首相のモディを挙げ、「国が経済成長を遂げ、貧困を減らすようにした」と見習うよう勧めているという。

ここまで来るとできすぎた美談に思える。Rinehartが、Fairfax Media(Sydney Morning Heraldなど所有)の最大株主であり、メディアに影響力があるのであればなおさらだ。

さすがにHerald Sunもそう思ったらしい。Rinehartは自身の子供も4人いるが、うち2人とは財産分配をめぐり骨肉の争い。その裁判を有利にするためではないかとHerald Sunは当初の記事で書いた。ただ違ったようで、後に修正している。

孤児らを養子にするといえば、カンボジア、エチオピア、ベトナムの子供を養子にしたアンジェリーナ・ジョリーが有名。しかし日本の富豪、たとえば孫正義や柳井正(それぞれ日本富豪ランク1位と2位)、SMAPや秋元康(日本では著名な芸能人)が、孤児を養子にしたという話を知らない。Rinehartのように、そんなことは公にすることではないと思っているのか、実際に養子にするという考えがないのかは分からないけれど。

Rinehartの動機が純粋なものだとして、の話だが、オーストラリアの富豪が将来のカンボジア人リーダーを育てているという構図がまず面白い。確かに一種、愉快な気持ちにさせられる。

加えて情けないのは、Noblesse obligeを持ち出すまでもなく、「他者」や「社会」に共感も同苦もできない日本の著名人。金や名誉、権力や著名であることのみが人生の目的だとしたら、なんともさもしい精神性よのう、サムライの国よ。

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