ミャンマー、ロヒンギャに国民投票への投票権を認める

ミャンマー議会が2日、今年中に行われる憲法改正のための国民投票について、国民とはみなされていないものの「White Card」という登録証を持った人たち150万人に投票権を認める法律「2015国民投票法」を成立させた。法律が施行されるには大統領の署名が必要だが、テイン・セイン大統領は同意する見通しという。

‘White Card’ Holders Eligible to Vote on Constitutional Reform(Irrawaddy、2015年2月3日)

賛成328票、反対79票、棄権19票という圧倒的賛成だった。

この法律が画期的なのは、ミャンマー西部の沿岸に多くいるロヒンギャと呼ばれるイスラム系少数民族の多くもこの「White Card」を持っていることから、実質的にロヒンギャに投票権を与えるという点にある。これまでミャンマー政府も、「民主化の象徴」スーチーもロヒンギャを「バングラデシュからの不法移民」とみなし、国民と同等の権利を認めなかった。ところが今回は、国軍出身者らが多くを占める議会で、ロヒンギャにも一票を認める法律が成立した。

しかもこの国民投票で問われるのは、国軍に25%の議席数を割り当てたうえ、スーチーの大統領選立候補も阻んでいる現憲法を改正するか否かという、ミャンマーにとっては根本的かつ深刻な問題だ。憲法改正には、議会の4分の3以上と国民投票での過半数の賛成が必要で、つまり国軍議員がすべてノーといえば自動的に改正できない仕組みになっている。従って、仮に今回の法律によって国民投票で「国軍の議席割り当て削減」や「スーチー大統領選立候補」にイエスとなっても、議会でノーといえるのだから大きな影響はなかろうという判断が、今回の法律の背後にあるとの見方もできる。

一方で、国の根幹をなす憲法を改正しようという問題なのだから、この国に住み、実際に生計を営んでいる人たちの意見を容れるべきだ、という動きと見ることもできる。

Irrawaddyは、

President Thein Sein sent the bill back to the committee recommending that it reinstate voter rights before reaching the floor for a vote. The committee accepted the change, resulting in a version that allows all citizens, foreign registration card holders and white card holders over the age of 18 to vote in the national referendum.

とだけしか書いておらず、なぜ大統領や議会がロヒンギャにまで投票権を与える決定をしたのかまでは不明だが、もし後者の理由であるとしたら、地方でさえ外国人参政権を認めようとしない某国よりも、よっぽど「民主的」なミャンマーだと言えるかもしれない。

案の定、議員の一部やメディアの一部には法律に反対する動きもある。ミャンマーがさてどのように国民投票を行うか。そしてその国民投票の結果はどう出るのだろうか。

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