"There is no law in Cambodia"

米英豪の大使館を爆破するとの手紙を送ったかどで、バングラデシュ人2人とネパール人1人に懲役8年の刑が確定した。

Terror sentences upheld(Phnom Penh Post、2015年2月5日)

そもそも公判が始まった時、地裁では「Presiding Judge Sun Visal said Cambodian police investigations showed the suspects had links to the al-Qaeda terrorist organisation and the Taliban」としており、本当なら、アルカイダ系のテロ組織がカンボジアにまで触手を伸ばしてきたことになる。

ただ、今回のプノンペン・ポストの記事によると、

National Police spokesman Kirt Chantharith said in a 2010 interview that a police investigation revealed “that the person who wrote the anonymous letter to the embassies accusing the four men of terrorism was actually just jealous that their restaurants were doing good business”. Two years later, however, he denied having ever made the statement.

ざっくり訳。国家警察スポークスマンは2010年のインタビューの際、警察の捜査によると、テロ容疑をかけられた4人を告発する手紙を書いた人物は、4人のレストラン事業がうまくいっていることを妬んだものと分かったと発言していた。しかし2年後、スポークスマンはこの発言を否定している。

つまり、個人的な恨みで書かれた嘘の手紙がいつのまにか国際テロリストの手先として国家の威信をかけた捜査となり、おそらく無実であろう3人が服役することになった、という話らしい。

今回の判決を受けた3人のうち一人は、

“If I did it, I would have run away when police invited me for interrogation, but I did not, because I am innocent. There is no law in Cambodia, and some people are blind. If Cambodia had laws, the court would not sentence us to eight years in prison.”

との言葉を残した。かなり直裁かつ辛辣に、しかも正確にカンボジア司法のずさんさを指摘している。

ただ唯一の救いは、司法に問題があると示唆する記事をこうして書けるメディアがあり、そうした記事を書く記者がいることだろう。違憲立法審査権をまったく使わず、自らを任命する行政府を気にして違憲判決をなかなか出さない見かけ倒しの司法を、だれも糾弾しない国のメディアとは、気概からして違う気がしてならない。

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