"The Interview"とプノンペン

2015年1月18日に、「”The Interview”とヤンゴン」という記事を書いた。それと同じことを北朝鮮がカンボジアに対してやっていた。

DPRK asks Cambodia to ban controversial film “The Interview”(Xinhua=新華社通信、2015年1月25日)

しかも今回は、カンボジアの外務次官が情報相に対して出した文書が公開されたというもので、ニュースの出元としてはばっちり。北朝鮮がプノンペンにある大使館を通じ、1月8日にカンボジア外務省あての文書で、「The Interview」を販売・上映しないよう求めてきたという内容だ。

ただこの記事や、「Cambodia asked to ban ‘The Interview’」(共同通信、2015年1月25日)を読んでも、また時事通信が日本語で流した記事を読んでも、なぜカンボジア側がこの文書を公開したのかというカンボジア側の意図が記されていない。通常、外交的な文書をしかも日曜日に公開することなどないのだけれど、その説明がないから記事としてすんなり読めない。

また、ミャンマー、カンボジアと北朝鮮の反「The Inteview」の動きがあるのだから、「ではラオスは?」「タイは?」「ベトナムは?」という、読み手が抱くであろう疑問にも当然こたえていないし、そんな記事もまだ出ていない。

要するに、この記事を読むだけでは「北朝鮮が何かまたしつこくやっている」というだけに過ぎないし、ミャンマーのケースがすでに報じられているのだから、二番煎じもいいところ。面白みも激減している。

前記事で軽く指摘しておいたように、北朝鮮は、少なくとも海賊版が横行する国の大使館に、もしかしたら全大使館に同じ指令を出しているのだろう。出したところ、出さないところを調べれば北朝鮮の意図もすけてみえて面白いはずだが、そんな手間暇がかかることは忙しい記者たちはしない。あとできるとすれば「なぜそこまで北は必死なのか」だが、それを調べるのもほぼ不可能に近い。

共同通信は平壌に支局を持っている。もしこうした疑問に答える記事が書けないのであれば、そこに支局を置いている意味は、少なくとも読者には見えない。

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