AIを活用したICレコーダー「HiDock P1」はかゆいところに手が届く良ガジェットとみた【Kickstarter】

まあこれほどAIが開発されてくると、今度は「それをどう使う?」というフェーズに入ってくる。AIが最も力を発揮するのは、人間がやろうとすると面倒くさく、時間がかかる単調な作業を短時間で効率的に行える場面だろう。

その最たるものは文字起こし。慣れた人でも、1時間の尺のものなら文字にするのに2倍から3倍はかかる。そしてそこから要点を抜き出し、たとえばA4版1枚のレポートにするにはまあ半日以上かかる作業になる。

そこでAIだ。録音をしながら同時並行で文字起こしをし、ついでに要点までまとめてしまう。そんなICレコーダーがすでにAmazonでも売られている。そんな他商品をかなり研究しつくしたと思われる商品がHiDock P1で、Kickstarterで出資を募っている(期限まであと17日)。

PLAUD NOTE AIiFLYTEK VOITER SR502JHiDock P1
Amazon価格(記事執筆時点)27,50052,100Kickstarterで89ドル(約12,656円)
利用クラウドAzure?Asure
対応言語112日英(翻訳不可)75
発言者認識自動認識?有料サブスクで可能に
テンプレート数13??5
通話録音通話録音可?別器具のP1 miniもあり
サブスク(無料)文字起こし月300分利用時間制限なし利用時間制限なし
有料プラン月1200分年169ドル。同時起こし・翻訳可能に
マイク282
特長30g、0.29cmの薄さ前面に3.5インチタッチパネル、800万画素カメラ。nano SIM対応。単体でネットワーク接続し文字起こし可ノイズキャンセレーションあり
バッテリー400mAh600mAh
ストレージ64GB16GB64GB
データ利用録音、文字起こし、要約データはAI学習に使われないと明言データは国内で厳密管理とデータはAI学習に使われないと明言

個性豊かな商品を比較対象に選んでみた。新しい技術が実製品に活用し始められるこのくらいの時期は、各社が「市場はこっちに向かうのではないか」とばらばらな方向に商品を出してくるのでおもしろい。

上記の表で、PLAUDは薄型で携帯性に特化。ストレージに不満はないが、起こしの時間数に制限がつくのはいただけない。iFLYTECは機能としてはスマホに寄った形で、マイク数が8と飛び抜けて多い。その分、価格もPLAUDの倍ほどする。

これに対しHiDock P1は、まず手持ちのBluetoothイヤフォンを使うことが前提となっている点が他商品とまったく違う。他のICレコーダーは、オープンな場で行われる会議や講演を録音することが暗黙の前提になっているが、コロナ禍以降、普通になったオンライン会議では、手持ちの無線イヤフォンを使う場面が多くなった。こうした状況に対応したものだろう。AIも、DeepSeekを使うかどうかは別問題だが、対応しているという点はいい。さらに、無料プランでも利用時間の制限がなく、そして価格もPLAUDの半額以下。スマホに直刺しして使うP1 miniとのセットでもEarly Birdで148ドル(約21,093円)。

そして何より、なにこのデザイン。ICレコーダーという既成概念に捕らわれた、もしくは単なる工業製品にしかなっていない他商品とは違い、まるでTeenage Engineeringのような、デザインを感じさせるSleekなデザイン。特にノイズキャンセリングの朱色っぽい小さいボタンがピリリと効いている。オンになったとき、またマイクミュートした時のイルミネーションもまたいい。本体色のグレーもいいし白もいい。いつもなら迷わずグレーだが、今回は白もいいなと思ってしまう。

出荷は6月の見通し。日本へは輸送料がプラス10ドル。

この会社は2023年にKickstarterで卓上型のHiDock H1を成功させており、同商品は日本のアマゾンでも売っている。その実績から、出荷不可や時期が大幅にずれることもないだろう。

こういう面白い製品に出会えることがクラウドファンディングの魅力ですな。

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