アメリカの新聞ボストン・グローブが、「ドナルド・トランプ大統領」を想定した第1面を作成、日曜版に折り込んだ。
Boston Globe runs satirical front page showing Trump presidency(Poynter, 2016年4月10日)
実物の「第1面」(PDF)を見ると、いわゆるトップニュースは、「不法移民の強制送還始まる」。脇には、「市況が下落、貿易戦争勃発で」。以下、「米兵、ISIS兵士の家族殺害を拒否」「名誉棄損法改正で報道を圧迫へ」などとなっている。
いずれもトランプが選挙戦中に公言したことが実現すればこうなるということを字にしたものという。
日本に置き換えると、7月にもあるとされる総選挙を前に、民進党党首が首相になったらこんな紙面になると、日本の新聞が模擬紙面を作るようなものだ。はっきり言って考えられない状況だが、アメリカの新聞が、支持政党や支持候補を明確に打ち出すのが普通なこと、そしてボストン・グローブがWASPを土台に、リベラル=民主党支持であることを考えれば、特段、不思議には感じない。
むしろ、今のトランプの勢いを見て、「これではヒラリーで勝てないかもしれない」という、東海岸白人の焦りすらうっすらと見えてきそうだ。だからこそ、「トランプ大統領」が実現した暁にはこんな恐ろしい紙面になるのだ、ということを示したのかもしれない。
しかしトランプを支持しているのが実は貧しい白人層が多いとされている。不法移民、つまりほとんどが有色人種が増え、「仕事を奪われた」などと感じている不満層だ。それをを下敷きに考えれば、実は白人間の格差(の感覚)こそトランプ躍進の原動力とも言える。