近くはイラクやアフガニスタン、シリアで顕著だったように、アメリカがある地域紛争である部族や宗派に肩入れして、その結果、大失敗に結びつくのは枚挙にいとまがない。東南アジアでは、ベトナム戦争がそうであり、ラオスを中心とするモン(Hmong)族がそうだった。
ベトナム戦争前後、アメリカは「東南アジアの共産化を防ぐ」という名目で、中国南部からベトナム、ラオス、タイの山岳地帯にいたモン族を利用、ラオスではパテト・ラオと戦わせた。結局、ラオスは共産化し、行き場と、アメリカという後ろ盾を失ったモン族は多くがタイなどの難民キャンプに逃れた。せめてもの罪滅ぼしと、難民をアメリカは受け入れた。
そんな元難民たちが、20年ぶりに集うという。
Graduates of Thai refugee camp plan a 20th reunion, marvel at their successes(Minneapolis Star Tribune、2015年3月10日)
なぜミネアポリスかは、確かモン族を指導した(操ったともいう)アメリカの部隊の本拠地がそこにあったから、という事情だったように思う。ともあれ、アメリカに来たモン族は、再会を企画するまでに一息はつけるようになったということなのだろう。ただ一方で、まったく違う国、違う文化、違う環境で、おそらく絶望し、やけになり、タイの難民キャンプなど思い出したくないという人も少なからずいるだろう。
もちろん、日本に直接関係したわけでも、100人以上が一気に亡くなったわけでもないから、アメリカにごまんといる日本のメディアが彼らを取り上げることもなく、従って日本のメディアからしか情報を得ていない日本の消費者は、彼らの存在や彼らの辛苦、彼らの成し得たものを知ることもない。
ヒラリー・クリントンがどうしたこうしたという形而上のニュースより、モン族の現状や過去を報じた方がよっぽど面白いだろうと思うのは私だけだろうか。