ちまたでは、iPhone(15Pro以降、Apple Intelligenceオン)+AirPods(4ANC、Pro2以降)で、ライブ翻訳ができるようになったと話題らしい。iOSどっぷりの人には朗報かもしれないが、そうではない大多数にとっては、高額な投資が必要でハードルは高め。
ビジネスの現場では、会議のメモ起こしをAIでやってくれるPlaud Noteをよく見かけるようになった。文字起こしだけでなく、そこから主要な論点や、ToDoまで作ってくれる。小型テープレコーダーをキュルキュルいわせて再生したり巻き戻したりしながら、実会議時間の3倍以上の時間をかけて文字起こししたあの苦労(そしてそれが役に立つことはあまりなかったという苦労)は、機材がICレコーダーに替わってもそんなに変わらなかったことを考えると、AI時代の到来でやっと本質的な変化が来たといえる。
とはいえ、Plaud Noteは定価27,500円。加えて、購入者が無課金で使えるAI機能は月300分まで。月1400円で1200分、無制限にするには月3333円のお布施が必要だ。同様のAIレコーダー、たとえばKickstarterで先日プレッジして受け取ったRecpointも同じスキーム。生成AI側が利用料に応じて従量で課金している以上、使えば使うほど料金がかさむような形にせざるを得ないのは当然だ。Recpointは約1万4000円と、Plaud Noteのほぼ半額だったことが購入動機としては大きかった。
なら、「全部入れ込めばいいじゃないか」と考え、それを世に問う人がいるのがクラファンの面白いところ。
米企業のTOZOが、Kickstarterで「Open X2 Pro」という製品への支援を募っている。

「The World’s First AI Smart Health Open-Ear Headphones」をうたっている。Healthといっても心拍数や血圧ではなく、どうやらジャイロセンサーで首の傾きを検知するようで、ストレートネックや猫背になっていたら、注意を促して休憩を取るように勧めるようだ。そのセンサーを生かして、「2回うなずくと電話を取る」などのモーションコントロールができるようだ。
もちろん、AIをうたっているので、アシスタントを呼び出して会話することが可能。加えて、リアルタイム翻訳ができる(=AirPodsと同様機能)。ちょうど日本語の例があったので貼っておこう。

そして、オンライン会議などではアプリを使って録音、文字起こし、要約ができる(=Plaud Noteと同様)。
AirPodsのように耳穴に突っ込む形ではなく、オープンイヤーなので、周りの音をある程度聞きながら作業ができる。これは、在宅ワークで家族の声や動きを知る必要がある人や、通勤途上で使う人にはありがたい方式だ。耳穴をふさいでしまって家族に大声を出され険悪な雰囲気になることもない。ラッシュのホームで人の流れに沿っていない人はたいてい、AirPodsを耳に突き差してスマホ画面を見ていることからも、オープン型の恩恵は分かってもらえるはず。
その他スペックでも、IPX07(水深1mまで、30秒以内)の防水対応なので、小雨や汗程度だと大丈夫のはず。SBCとAACだけではなくLDAC対応、ハイレゾオーディオ認定、Bluetooth6と抜かりがない。効果のほどは分からないが空間オーディオにも対応とのこと。
「とはいえ、Plaud Note同様、AIをフル活用しようとすると料金がかかるんでしょ?」と疑うのが健全な消費者。確かに、「Open X2 Pro」も無料、プレミアム、プロフェッショナルと3段階のプラン建てをしている。だけれど、支援金がStretch Goalに達したため、そのごほうびとして、Kickstarterで支援した人には、一番上のProfessional Planがずっと無料になるという特典がつくことになった。Pro Planにある唯一の制限が会議録で、これが月800分。あとは無制限。それでFree Forever!

それでいて、執筆現在(2025年11月10日)、Super Early Birdが残り28あり、約2万1500円。それがなくなってもEarly Birdが約2万3000円。アップル製品でいえば、AirPods4(ANC)でさえ2万9800円。Pro3では3万9800円。これらはiPhone(高価ですよね)が必要で、iPhoneでしか使えないが、「Open X2 Pro」は当然、iPhoneでもAndroidでも使える。
機能モリモリが楽しい「Open X2 Pro」。当然プレッジした。到着予定(あくまで予定)は2026年1月。楽しみだ。