白豪主義の亡霊再び

ことイルカやシャチ、クジラの権利になるとうるさいオーストラリアだが、同じ哺乳類でも人間に対しては非寛容なところがあるらしい。お隣、ニュージーランドのラジオが伝えている。

Four refugees agreed to resettle in Cambodia – report(Radio New Zealand、2015年4月30日)

様々な国から、母国を逃れ新天地を目指し、オーストラリア亡命を願う人たちがいる。そうした人たちをオーストラリアは、大陸を踏ませることもせず、隣国の島国ナウルに作った隔離施設にとどめ置いている。そして、オーストラリアに入ることはできないから、せめて他国に移住してはどうかと勧めているらしく、この記事ではその中でたった4人だけがオーストラリア政府の勧めに応じ、その直前になってオーストラリアがこの4人に対し難民申請をさせた、つまりそれまでは、保護すべき難民というステータスすら与えてこなかった、ということが示されている。

難民支援を行う団体の広報担当者は、

It seems very clear that the government is bending the rules to try and save political face.

ざっくり訳:オーストラリア政府は規則を捻じ曲げ、単に政治的体面を保とうとしていることが明らかになった。

と批判している。

この記事は短いが、いろいろなファクトが入っていて興味深い。

応じた4人は、「イラン人のカップル、イラン人男性、ロヒンギャ男性」。カンボジアに移住すれば、最大1万2000ドル(約140万円)と健康保険と雇用を約束される。オーストラリアとカンボジアはこのスキームで3000万ドル(約40億円)を動かすことになっている、など。

日本語だけでは、オーストラリアはサンゴ礁とコアラとカンガルーの国にしか見えない。デファクト共通言語の英語が使えれば、そうではなくアボリジニを迫害し、英国の流刑地だったという過去を持つ国だということも垣間見える。イラン人がなぜカンボジア行きに応じたのか、その気持ちを知りたいという思いをもったとしたら、あなたはもう立派なジャーナリストだ。

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