カンボジア、国連PKOに461人を派遣

カンボジアが、マリと南スーダンの国連PKOに兵士461人を派遣する。うち29人は女性という。

Cambodia sends 461 troops to Mali, S. Sudan on peacekeeping(新華社、2015年4月7日)

この記事は色々と考えさせられる。

He said since 2006, Cambodia has sent a total of 2,816 personnel, including 81 females, to Sudan, South Sudan, Central African Republic, Chad, Syria, Lebanon and Mali.

ざっくり訳:彼(Roger Carter, U.N. Security Advisor to Cambodia)によると、2006年以来、カンボジアは女性81人を含む2816人をPKOとしてスーダンや南スーダン、中央アフリカ、チャド、シリア、レバノン、マリに送ってきた。

国連の統計(PDF)によると、軍・警察のみの人員だがカンボジアは世界で36位の輩出国となっている。トップはバングラデシュ。2位以下にパキスタン、インドとなぜか南アジアの国々が並び、エチオピア、ルワンダ、ネパールが続く。G8加盟国では、イタリア(27位)、フランス(32位)、イギリス(51位)の順で、日本は52位。

内向き化が激しい日本は、以前ほど「国際貢献」や自衛隊のPKO派遣がニュースになることは少なくなった。国連は現在、16のPKOミッションを展開中だが、日本が参加しているのは南スーダンのみ。

無論、カンボジアを含め輩出国上位を途上国が占めるのは、国連から派遣兵士に給料が出るという事情もある。兵士を養うために、戦いはしない国内にとどめ置くよりは、PKOに出した方が兵士の人件費という意味では国の財政負担は軽くなるし、兵士にとっては一種の訓練にもなる。PKOでは印パやネパール、フィジーなど小国がかなり危険な場面に直面した例もあまたある。

そんな事情をふまえても思うのだ。カンボジアはクメール・ルージュによる圧政と、その後の内戦で統治機能が実質的には消滅、そのため国連PKO(UNTAC)が国を暫定統治するという時代を経て、国の体裁をやっと整えた。いわばPKOに国を造られたといってよい。ちょうどGHQが戦後日本の枠組みを大きく決めたように。

そのカンボジアが、UNTACの中心だった日本をしのぐ規模で「国際貢献」を行っている。カンボジアにとってはほとんど何のゆかりもない南スーダンとマリへ今回も兵士を送る。カンボジア復興にかかわった人は深甚の意味を感じ取ることだろう。

翻って日本。離島をめぐるいざこざ程度しか明白かつ緊迫した危機のないなか、たとえばイタリアやフランス、イギリスよりも派遣が少ないのはなぜだろう。その離島のいざこざにしても最前線に立つのは海上保安庁だし。国内で災害派遣が常態化しているわけでもないし。派遣しない、もしくは増やさないという政治的判断または不作為が行われているとしか思えない。だから政治家や省庁が「国際貢献」という言葉を使う際には、彼らが本心ではないことを念頭に、眉にツバをつけて聞いておけばよい。

どうせ政治家には崇高な理念もないし、どうせ官僚には自分の身分を捨ててでも実現したい政策があるわけでもない。数年ごとの選挙と数年ごとの人事異動をうまくやり過ごすことを考えているだけだ。

そんな彼らの一部が今、統一地方選というお祭りの中、大声を上げている。耳に入らざるを得ない彼らの言葉の、なんと空虚なことか。その空虚さは、彼らの日頃の活動のうつろさの反映でもあるのだろう。

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