どうしたNHK「ニュースウオッチ9」

13日夜のNHKニュースウオッチ9のトップニュースはなんと、「タイのカオヤイ国立公園でゾウが車を破壊」だった。常々、この番組のニュース判断には疑問を感じてきたが、これほどひどいとは思わなかった。

繁殖期を迎えゾウが過敏になっていることに加え、写真を撮ろうと近づき過ぎたりクラクションを鳴らしたりする車に、ストレスがたまったため、という。映像の面白さがあったのか、前日に日本テレビやTBSでもやってはいたが、ニュース番組の後ろの方で話題モノの扱いだった。それを看板ニュース番組のトップに持ってくる判断というのは、どんなニュース感覚の持ち主なのだろう。

この13日、同じタイにするなら、「タイ代理出産で男性が子ども引き渡しを求めて提訴」があった。フランスの続報なら、「逃亡中の女がシリア入り、トルコ外相認める」があった。大震災がらみでは、「自動車学校に賠償命令判決」があったし、「中間貯蔵施設を双葉町が受け入れ表明」があった。社会ニュースでは「栩内被告に有罪判決」があったし、経済では「東京株、反落で1万7000円割れ」があった。スポーツでは、「90歳現役サッカーライターにFIFA会長賞」があった。

このうちどれをトップで取り上げたとしても、それなりの「ニュース性」があったし、その「ニュース判断」にも首肯できた。しかしなぜわざわざカオヤイなのか。なぜゾウなのか。この問題は、何年も前からタイではニュースになっていた。つまり今に始まったことではない。13日に取り上げたのは単に、番組でも使ったこの映像がYouTubeに10日にアップされたからではないのか。何と安直、何と節操のない判断なのか。

閑話休題。カオヤイ国立公園(Google Map)といえば、クーデターでタクシン首相を追い出したスラユット首相(元枢密顧問官=国王側近)が、国立公園内になぜか別荘を建てていたとして批判されたことを思い出す。

タイ首相の別荘疑惑、前政権与党が捜査要求(newsclip.be)

暗黒のフォースが働いて、結局沙汰やみになってしまったが、まあ、山口県に住民票を置いてあるはずの某首相が、その住所には居住実態がなく、生活の本拠は東京にあり、週末の多くを山梨県の別荘で過ごすような問題と似ているといえば似ている。住民票異動は義務のはずだが、だれも追及せずそのまま暗黒の中へ。それをチェックするのがメディア、つまりNHKも含まれるニュース番組の役割ではなかったか。

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