夢の国ディズニーランドの現実

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ディズニーランドといえば夢の国。その夢の国の一つ、米国カリフォルニア州アナハイムのディズニーランド・パークでmeasles(はしか)の集団感染が発生し、それが全米規模の流行につながりつつある。

現時点でもっともまとめている米誌Peopleの「What You Need to Know About the Disneyland Measles Outbreak」によると、感染は2014年12月15日以降に発生。感染しただれかが来園、それが従業員にうつり、そしてまた客にうつるという経緯で広がったようだ。23日までに60例以上が確認され、カリフォルニア州を含む5州とメキシコにも及んだ。

CBSの記事、「Measles outbreak traced to Disneyland continues to grow」によると、カリフォルニア州内で見つかったはしか68例のうち、48例がディズニーランドにかかわるものと分かっているという。州の保健当局者は「予防接種していない人はディズニーランドに近づくな」とアドバイスしているほど。「夢の国に行ったら病気がうつる」とは何とも皮肉なことだが、この感染拡大には別の側面もあるらしい。

ピッツバーグのテレビ局WPXIの「Disneyland measles outbreak spreads to 5 states」は、米国でははしかが2000年に撲滅されていたが、それ以降、最悪の発生数だとして、その理由を、

Much of this outbreak is being blamed on the anti-vaccine movement.

The movement, popularized by (former ABC television host)Jenny McCarthy and medical skeptics, encourages parents not to immunize their children, for fear of potential side effects.

と非難している。元ABCテレビのホストや現代医療に疑問を呈する人らが「反ワクチン運動」を起こし、それに影響を受けた親たちが子供に予防接種させなかったため、抗体を持たない人が増え、感染が拡大しているというのだ。まあ日本でも同じような輩がいないこともない。「ガンになったら医者にかかるな」的な言説の本は書店にいけばいくらでもある。

現代の様々な問題に疑問を感じるあまり、反近代的な、超自然的な何かを持ち出してくるというのは洋の東西を問わないのだろう。

いやいやそれ以上に、いったんは根絶されたウイルスが再び夢の国で再生、活発化する。なんだか映画の筋書きのようだ。

これまで読んだ記事の中では、安全性が確認されているワクチンを多くの人が打つことで万一感染者が出てもその広がりを抑え、妊婦や乳児など予防接種したくてもできない人を結果的に守る「Herd immunity」(集団免疫)に言及、説明して、読み手に一番の読後感を与えたのは、アルジャジーラ・アメリカだった。日本のメディアでは、朝日新聞(1月9日)とフジテレビ(1月19日)が報じているが、当然、反ワクチン運動や集団免疫には触れていない。

ほらほら、それを知って、「ディズニーランドからメディアに圧力がかかっているのだ」などと言い出すあなたには、不可知のものをすぐ蜃気楼のようなもので説明しようとする「Jenny McCarthyになるぞ」と言っておきましょう。

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