国父を悼む

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タイでは25日から、前国王プミポンの火葬セレモニーが始まった。26日深夜には遺体が荼毘に付された。王宮前にしつらえられた火葬場などには、折からの雨期でときおり雨が降る中、喪服の国民が多数集まり、前王の死を悼んだ。

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前国王は2016年10月13日、88歳で崩御。以後1年間、国民は喪に服してきた。この5日間のセレモニーが喪中のクライマックスとなる。在位70年4か月と、昭和天皇より長い。ほとんどのタイ人にとっては、国王といえば前国王。壮年期には数々のクーデターで調停役となり、国情の安定化にも貢献した。そんな前国王を悼むのは、多くのタイ人にとっては自然であり、また必然でもある。

時に政権は、2014年のクーデターから軍事政権。特に喪に服すこの1年、不敬罪(lese majeste)を振りかざして言論統制を強めてきた。

火葬セレモニーの直前である10月6日には、司法相が「元首相タクシンを不敬罪で告発する」と発言している。しかし、タクシンの発言の何が不敬罪となるのかは明らかにしていない。

Former Thai PM Thaksin to be charged with royal insult: attorney general(Reuters, 2017/10/6)

また、社会批評家であり、むしろ国王支持者と自認してもいる85歳のSulak Sivaraksaも、400年前のナレスワン王について2014年に疑問を呈したことが不敬罪になるとして、今さら連行した。

Thai man faces prison for doubting story about ancient king(AP, 2017/10/9)

ほとんどのタイ国民は純粋な敬愛の情から前国王を悼んでいるが、その敬愛の情を自分の立場強化に悪用しようとする勢力があるのもまた事実。いつになったら選挙を行い、民政に戻すのかが、喪が明けた後、軍政に厳しく突きつけられることになる。

ともあれ、APの記事でSulakが元気で、相変わらず意気軒高なことを知れたのは有意義だった。

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